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以下に挙げる疾患は、稀ではあるものの、脳梗塞・脳内出血・くも膜下出血といった重篤な脳卒中を引き起こす原因となることがあります。これらの疾患はいずれも内科的治療が困難なケースが多く、状態によっては積極的に介入治療(主に脳血管内手術や開頭術)を行う必要があります。

硬膜動静脈瘻

硬膜(脳を包む厚くて強い膜)に分布する動脈と静脈の間に、直接血流が通じる異常な経路(シャント)が形成される疾患です。このシャントにより、動脈の血液が本来のルートとは異なり、頭蓋内の静脈に逆流します。発症頻度は非常に低く、年間で100万人あたり数人とされています。

硬膜のさまざまな部位に発生し、場所ごとに異なる症状を引き起こします。脳血管内治療が発展する以前は、治療が困難な病気でしたが、現在ではマイクロカテーテルの技術進歩により、シャント部にまでアプローチが可能となり、根治が目指せる疾患となっています。治療が難しい解剖学的位置にある場合もありますが、技術の向上により治療範囲が広がっています。

脳動静脈奇形

脳の動脈と静脈が正常な毛細血管を介さず、直接つながってしまう病気です。このシャント部分(ナイダス)が大きく、言語や運動機能を司る部位に存在する場合は、治療によるリスクが高くなります。

発症頻度は脳動脈瘤の破裂の約10分の1程度とされ、非常にまれですが、てんかん発作や脳内出血、くも膜下出血として症状が現れることがあります。治療法には、脳血管内手術、開頭による摘出手術、またはその両方を組み合わせた方法があり、出血リスクと手術リスクのバランスを慎重に見極めながら治療方針を決定します。

海綿状血管腫

脳の実質内に、海綿状に拡張した毛細血管が集まってできた塊が形成される病気で、桑の実のような多房性の構造をしています。主な症状として、てんかん発作や頭痛などが挙げられます。大脳・小脳・脳幹など、脳のさまざまな部位に発生します。

発症頻度は人口の約0.5%とされており、そのうちおよそ80%は孤発性で、遺伝とは無関係ですが、残りの約20%は家族性とされ、遺伝的な背景を持つ場合があります。無症状で偶然見つかった場合には、経過観察を行いますが、神経症状が出現するケースでは摘出手術が検討されます。発生部位によっては、手術による合併症リスクと出血のリスクの比較検討が難しいことがあります。

もやもや病

脳に血液を送る大切な血管である内頸動脈の終末部分が、原因不明のまま徐々に狭窄していく疾患です。特徴的なのは、発症時期が二つのピークを持つ点で、5〜10歳の小児期と、35〜45歳の成人期に多くみられます。

小児では、脳梗塞の前触れとして手足の脱力や言語障害、てんかん発作などの症状で発症することがあります。一方、成人では脳内出血、脳室内出血、くも膜下出血などの出血性の発症が多くみられますが、脳梗塞やてんかんで見つかる場合もあります。

MRI検査で偶然に見つかることも多く、無症状の成人については治療を行わず経過観察にとどめることもあります。小児期発症のもやもや病では、バイパス手術(血流を補うための直接または間接的な吻合術)が治療として行われています。